2008.7.25
監督:宮崎駿
声の出演:山口智子、所ジョージ
テーマや目指すところは素晴らしいと思うのですが、あまりにも省略され過ぎているような印象を全編から受けました(上映時間の長さ的にはベストと思います。最近の映画は長すぎです!)。
ポニョの家出の動機、フジモトが海に身を投じ古代魚再生を目指す理由、海(地球)のバランスと月との関係、そして根源となる「宗介大好き!」に至る心の動き等々……。
また、登場人物の造形もこれまでの作品からの借り物(ポニョ:『となりのトトロ』メイ、リサ:『魔女の宅急便』おソノさん、おばあさんたちもそれぞれ…等々)ではないか、とすら感じてしまいます。
宮崎さんは本作を集大成と考えていたのだろうか?
だとしたら、これで「おしまい」にはできないんじゃないの!? という意地悪(?)なエールを送りたいと思います。
瀬戸内海の鞆の浦(とものうら)で合宿をした成果は、舞台背景に見事に取り入れられており「あぁ、また行きたいなぁ!」との旅情をそそられたのは確かです。
浦島太郎や人魚姫(日本にはない?)などの伝説がありそうな瀬戸内ではあるのですが、あの地域で起きた出来事が地球規模の異変を引き起こすほど大きなものにならんだろうなどと考えてしまい(瀬戸内海も広いのですが)、どうも鞆の浦という土地とダブらせて観てしまったせいで、他の人の見方とは違ってしまったかも知れません……
鞆の浦近くに「阿伏兎(あぶと)観音」という崖の上に奉られたお堂があります(車では行けません)。
個人的には、ここが崖の上の家のイメージなのではないか、と勝手に思っています。
「ポーニョ、ポーニョ、ポニョ……」の主題歌が、何だか「メタボおやじと、中年おばちゃんのテーマソング」のように扱われる風潮にあらがえず、思い出し笑いをしてしまうわたしは、もう海底を覆うヘドロのような存在かも知れません……
2008/07/23
歩いても 歩いても
2008.7.18
監督:是枝裕和
出演:阿部寛、夏川結衣、YOU、樹木希林、原田芳雄
亡き息子の命日、実家に集う家族たちをもてなすため、台所での下ごしらえの手際がつづられる絵に、家を取り仕切ってきた母の声(樹木希林)と、現代風な中年主婦で割り切りを心得た娘(YOU)の会話がけたたましく続いていく。
久しぶりと思われる母娘の会話は、本来ならば心情の交歓などが多少はあってもしかるべきと思うところだが、この会話にはまるで接点が無く、それぞれが自己の思惑を語っているところに、とてもリアルさが感じられる。
外野からは、そんな会話でよく事が運ぶものだと思えるのだが、当人たちにすれば「そんなことお互い分かっていることでしょ!」と「ツー・カー」でいるつもりになっている。
家族なのだからお互いのことを「よく知っている」のは当たり前であっても、それぞれがどんな思いを胸に秘めている(考えている)のかは、いくら家族であっても知り得ないというのが「家族の実態」なのではないか? と問いかけられているような気がしてくる。
好意的に理解しようとしていた家族から、想像もしなかったある種残酷な本音を聞かされ、拒絶反応を示しとまどいながらも、共に食卓を囲んで食事をするのが「家族の実態」ではあるまいかと。
それは単なる食「欲」であるのかも知れないが、現代ではそれをも拒絶しようとする「家族の実態」もあると耳にする。
──食事でしか家族はひとつになれないのではあるまいか? それは、小津さんの映画にまでさかのぼることになるが、すでにそこには「真理」が語られていたことに改めて気付かされる。
乳幼児のころから世話をしてくれた親に対して「何も分かっちゃいないじゃないか!」の意識が芽生えてもそれは当然である。
「昔からずっと成長を見てきた」親であっても、それ以上のことを「他人(自己でないという意味)」に求めることはできないのではないだろうか。
親からしても、自分の期待を押しつけることができないように……
家族という血縁等のつながりがあるとはいえ、それぞれが独立した「自己」を持つ存在の集団なのだから、各人の意識無くしてまとまりなどは望めないものなのではないか? という問いかけのようにも感じられる。
「理解し合えているというのは妄想である。しかし、互いを尊重しあえることで家族は成立する」とでも言うかのように……
「歩いても 歩いても」近づくことができない家族ではあるけれど、離れることもできない存在なのではないか。
ということが、テーマであると同時に願望なのではないか、という気がした。
タイトルが「ブルーライトヨコハマ 」からきているとはちょっと意表を突かれました。
──歌詞を調べて納得したがるなど、なんてまじめな観客なんだろう……
是枝監督からはどちらかというと静かな画面を想起するが、YOUのけたたましいセリフのリズム感というものが騒音にならないと言うか気にならないのは、きっと相性の良さなのだと思わされた。
監督:是枝裕和
出演:阿部寛、夏川結衣、YOU、樹木希林、原田芳雄
亡き息子の命日、実家に集う家族たちをもてなすため、台所での下ごしらえの手際がつづられる絵に、家を取り仕切ってきた母の声(樹木希林)と、現代風な中年主婦で割り切りを心得た娘(YOU)の会話がけたたましく続いていく。
久しぶりと思われる母娘の会話は、本来ならば心情の交歓などが多少はあってもしかるべきと思うところだが、この会話にはまるで接点が無く、それぞれが自己の思惑を語っているところに、とてもリアルさが感じられる。
外野からは、そんな会話でよく事が運ぶものだと思えるのだが、当人たちにすれば「そんなことお互い分かっていることでしょ!」と「ツー・カー」でいるつもりになっている。
家族なのだからお互いのことを「よく知っている」のは当たり前であっても、それぞれがどんな思いを胸に秘めている(考えている)のかは、いくら家族であっても知り得ないというのが「家族の実態」なのではないか? と問いかけられているような気がしてくる。
好意的に理解しようとしていた家族から、想像もしなかったある種残酷な本音を聞かされ、拒絶反応を示しとまどいながらも、共に食卓を囲んで食事をするのが「家族の実態」ではあるまいかと。
それは単なる食「欲」であるのかも知れないが、現代ではそれをも拒絶しようとする「家族の実態」もあると耳にする。
──食事でしか家族はひとつになれないのではあるまいか? それは、小津さんの映画にまでさかのぼることになるが、すでにそこには「真理」が語られていたことに改めて気付かされる。
乳幼児のころから世話をしてくれた親に対して「何も分かっちゃいないじゃないか!」の意識が芽生えてもそれは当然である。
「昔からずっと成長を見てきた」親であっても、それ以上のことを「他人(自己でないという意味)」に求めることはできないのではないだろうか。
親からしても、自分の期待を押しつけることができないように……
家族という血縁等のつながりがあるとはいえ、それぞれが独立した「自己」を持つ存在の集団なのだから、各人の意識無くしてまとまりなどは望めないものなのではないか? という問いかけのようにも感じられる。
「理解し合えているというのは妄想である。しかし、互いを尊重しあえることで家族は成立する」とでも言うかのように……
「歩いても 歩いても」近づくことができない家族ではあるけれど、離れることもできない存在なのではないか。
ということが、テーマであると同時に願望なのではないか、という気がした。
タイトルが「ブルーライトヨコハマ 」からきているとはちょっと意表を突かれました。
──歌詞を調べて納得したがるなど、なんてまじめな観客なんだろう……
是枝監督からはどちらかというと静かな画面を想起するが、YOUのけたたましいセリフのリズム感というものが騒音にならないと言うか気にならないのは、きっと相性の良さなのだと思わされた。
2008/06/10
築地魚河岸三代目
2008.6.9
監督:松原信吾
出演:大沢たかお、田中麗奈、伊東四朗
新しい人情喜劇の誕生です!
江戸っ子という「東京遺産」が闊歩してイヤミにならない場所が、築地という東京の台所にありました。
また、その切り口が「味」(美味追求)であると思われるところが、今後の広がりを予感させる奥深さを秘めた隠し味となっています。
大沢たかおクンの明るい表情を久しぶりに観た気がしていますが、もっとハチャメチャにはじけていいんじゃないか、と期待しています。
魚河岸仲卸の娘が、ネコ科(ゲゲゲの鬼太郎の猫娘役で吹っ切れたのでは?)の田中麗奈というのはちょっと疑問を感じるところですが、一所懸命やってる姿には好感が持てました──彼女の顔を観ながらボロボロ涙を流したとは驚きです……(これは褒め言葉です)
題材のおかげか、撮影現場にとても活気があるのだと思われ、出演者の表情がみんなイキイキしているように見え、生きのいい作品であるとの好感を持てました。
それはまさしく監督の力なのだと思いますが、細かいエピソードにもキチッと気を配っていて(オープンのロケと思われる部外者の写り込みまで好感が持てました)、久しぶりの松竹映画らしいいい作品ではないでしょうか(迷作『なんとなく、クリスタル』の監督だとは驚き)。
とても楽しめました。
『寅さん』や、『釣りバカ日誌』もいいのですが、若い主人公のシリーズ化が決まったことはとても素晴らしいことですし、主役の二人は次回作からもっとはじけてくれるんではないかと、もう既に期待が膨らんでおります。
監督:松原信吾
出演:大沢たかお、田中麗奈、伊東四朗
新しい人情喜劇の誕生です!
江戸っ子という「東京遺産」が闊歩してイヤミにならない場所が、築地という東京の台所にありました。
また、その切り口が「味」(美味追求)であると思われるところが、今後の広がりを予感させる奥深さを秘めた隠し味となっています。
大沢たかおクンの明るい表情を久しぶりに観た気がしていますが、もっとハチャメチャにはじけていいんじゃないか、と期待しています。
魚河岸仲卸の娘が、ネコ科(ゲゲゲの鬼太郎の猫娘役で吹っ切れたのでは?)の田中麗奈というのはちょっと疑問を感じるところですが、一所懸命やってる姿には好感が持てました──彼女の顔を観ながらボロボロ涙を流したとは驚きです……(これは褒め言葉です)
題材のおかげか、撮影現場にとても活気があるのだと思われ、出演者の表情がみんなイキイキしているように見え、生きのいい作品であるとの好感を持てました。
それはまさしく監督の力なのだと思いますが、細かいエピソードにもキチッと気を配っていて(オープンのロケと思われる部外者の写り込みまで好感が持てました)、久しぶりの松竹映画らしいいい作品ではないでしょうか(迷作『なんとなく、クリスタル』の監督だとは驚き)。
とても楽しめました。
『寅さん』や、『釣りバカ日誌』もいいのですが、若い主人公のシリーズ化が決まったことはとても素晴らしいことですし、主役の二人は次回作からもっとはじけてくれるんではないかと、もう既に期待が膨らんでおります。
2008/06/01
山のあなた 德市の恋
2008.5.29
監督:石井克人
出演:草なぎ剛、マイコ、堤真一
清水宏監督『按摩と女』(1938年)のリメイクだそうですが、本作は間の悪さ、行間情景のスカスカさがどうにも埋められず、演出の力不足を考慮して脚本の変更をすべきだったのではないかと思ってしまいます(脚本・演出もオリジナルを踏襲しようという意図だったように感じられます)。
──堤真一が生きていませんもの。
そんな中でも特筆すべきはマイコの存在で、小津さんの映画を観ているのでは? と錯覚するような、戦前昭和の空気を醸し出してくれる落ち着いた雰囲気を持ち合わせていました。
鼻はちょっと高すぎるけれど、和服と走る姿が絵になる女性で、この女性は女優をやった方がいいんじゃないか? とも思えました。
──原節子さんも、最初は身体の大きさや顔の作りにとまどいを感じられた方も多かったと思われます。
出来としては「草なぎクンの主演作だから」の感想で伝わってしまう、と言ったら失礼ですが、そう言い切れてしまうのは演出の力不足であり、絵が安っぽく見えたのはプロデューサーの責任に思われます。
監督:石井克人
出演:草なぎ剛、マイコ、堤真一
清水宏監督『按摩と女』(1938年)のリメイクだそうですが、本作は間の悪さ、行間情景のスカスカさがどうにも埋められず、演出の力不足を考慮して脚本の変更をすべきだったのではないかと思ってしまいます(脚本・演出もオリジナルを踏襲しようという意図だったように感じられます)。
──堤真一が生きていませんもの。
そんな中でも特筆すべきはマイコの存在で、小津さんの映画を観ているのでは? と錯覚するような、戦前昭和の空気を醸し出してくれる落ち着いた雰囲気を持ち合わせていました。
鼻はちょっと高すぎるけれど、和服と走る姿が絵になる女性で、この女性は女優をやった方がいいんじゃないか? とも思えました。
──原節子さんも、最初は身体の大きさや顔の作りにとまどいを感じられた方も多かったと思われます。
出来としては「草なぎクンの主演作だから」の感想で伝わってしまう、と言ったら失礼ですが、そう言い切れてしまうのは演出の力不足であり、絵が安っぽく見えたのはプロデューサーの責任に思われます。
2008/05/30
砂時計
2008.5.2
監督:佐藤信介
出演:夏帆、松下奈緒
本作を観ようと思った動機は、昨夏公開の『天然コケッコー』を観に行った京都のミニシアターが2度満員であきらめたものの、いい評価を受けていた印象があるので、夏帆ちゃんがどんなもんなのか観たい気持ちで足を運んだのですが、首をかしげてしまいました。
物語のテーマと思われる、砂時計が新たな時を刻み始めるとき「過去が未来になる」はずのものが、「未来が過去の繰り返しになる」面ばかりが印象に残ってしまい、何で彼女を使うのか理解できない松下奈緒に「まかせといて!」と言われても、砂時計が明るい未来を刻み始めるとはどうしても思えませんでした。
原作が少女漫画だからいけないとは言いませんが、一生懸命生きているはずの男性たちの苦悩が伝わってきません。
そして主題とされる砂時計を壊してしまうという扱いはいかがなものか、と思ってしまいます。
ガラスの器の中に砂が入っているわけですから、それを割ってしまってはもう二度と元には戻りません。
壊れたものは仕方ないから、これから「新しい時を刻もう」と違う砂時計を買ってくる訳ですよね?
その時、女の性は「ここから再スタート」と切り替えるのかも知れません。
で、その時男の性は「納得しているんだから、まあいいか」と、その区切りを女の性に委ねてしまいます。
それが描きたかったこと、と理解していいのだろうか?
これはわたしの勝手な感想なんですがね……
『天然コケッコー』
前述の作品に納得がいかずに、DVDを借りて観ました。しかし……
2作品とも、舞台設定が島根県である必然性が感じられなかったのですが、何でそんな作品を作ったんだろうか。
『砂時計』は仁摩にある大きな砂時計の存在であり、『コケッコー』ではとて物腰の柔らかな島根の女言葉(浜田の宿のおばあさんの言葉を思い起こしました)でしかないのでは?
それだけならば、どちらの作品も東京と対比のできる田舎町であればどこでもいいことになってしまうのでは、と思ってしまいます。
そして夏帆ちゃんにガッカリです。
『砂時計』では、表情もできてなければ、セリフもまともにしゃべれないと散々だったので『コケッコー』に期待したのですが、かろうじて「天然」の部分だけが人物設定にはまっていただけで、ちょっとこの先難しいかも知れないと思わされました。
TVCMの「リハウス」の頃の方が輝いていた気がします。
いずれも原作が少女コミックなので、エピソードが多すぎてストーリーを絞りきれないという誘惑に負けたと言うか、上映時間長すぎです!
監督:佐藤信介
出演:夏帆、松下奈緒
本作を観ようと思った動機は、昨夏公開の『天然コケッコー』を観に行った京都のミニシアターが2度満員であきらめたものの、いい評価を受けていた印象があるので、夏帆ちゃんがどんなもんなのか観たい気持ちで足を運んだのですが、首をかしげてしまいました。
物語のテーマと思われる、砂時計が新たな時を刻み始めるとき「過去が未来になる」はずのものが、「未来が過去の繰り返しになる」面ばかりが印象に残ってしまい、何で彼女を使うのか理解できない松下奈緒に「まかせといて!」と言われても、砂時計が明るい未来を刻み始めるとはどうしても思えませんでした。
原作が少女漫画だからいけないとは言いませんが、一生懸命生きているはずの男性たちの苦悩が伝わってきません。
そして主題とされる砂時計を壊してしまうという扱いはいかがなものか、と思ってしまいます。
ガラスの器の中に砂が入っているわけですから、それを割ってしまってはもう二度と元には戻りません。
壊れたものは仕方ないから、これから「新しい時を刻もう」と違う砂時計を買ってくる訳ですよね?
その時、女の性は「ここから再スタート」と切り替えるのかも知れません。
で、その時男の性は「納得しているんだから、まあいいか」と、その区切りを女の性に委ねてしまいます。
それが描きたかったこと、と理解していいのだろうか?
これはわたしの勝手な感想なんですがね……
『天然コケッコー』
前述の作品に納得がいかずに、DVDを借りて観ました。しかし……
2作品とも、舞台設定が島根県である必然性が感じられなかったのですが、何でそんな作品を作ったんだろうか。
『砂時計』は仁摩にある大きな砂時計の存在であり、『コケッコー』ではとて物腰の柔らかな島根の女言葉(浜田の宿のおばあさんの言葉を思い起こしました)でしかないのでは?
それだけならば、どちらの作品も東京と対比のできる田舎町であればどこでもいいことになってしまうのでは、と思ってしまいます。
そして夏帆ちゃんにガッカリです。
『砂時計』では、表情もできてなければ、セリフもまともにしゃべれないと散々だったので『コケッコー』に期待したのですが、かろうじて「天然」の部分だけが人物設定にはまっていただけで、ちょっとこの先難しいかも知れないと思わされました。
TVCMの「リハウス」の頃の方が輝いていた気がします。
いずれも原作が少女コミックなので、エピソードが多すぎてストーリーを絞りきれないという誘惑に負けたと言うか、上映時間長すぎです!
2008/02/27
母べえ
2008.2.24
監督:山田洋次
出演:吉永小百合、坂東三津五郎、浅野忠信
大人の演出の落ち着いた作品になっていたと思います。
山田さんきっと、吉永小百合さんの思うままにやらせたんじゃないか? と思えるほど「母べえ(吉永さん)こそ観てください!」と言っているようにも思えました。
いい悪いは別にして、吉永さんは本当にじっくりと自分の演技をしていたと思います。近ごろでは、演技者が腰を据えて取り組める作品というものは数少なくなってきましたし、高倉健さんも出番がめっきりありませんしね…
てらう演技など「貴女、もうおばさんなんだから作らなくていいのに!」(でも女心は失わない?)ってところまで出させてしまう、見事な演出のさじ加減だと思います。
子役も抜群で登場人物はみんな生きていたし、淡々と「母べえの生きた時代」を描くことで、昭和の時代の叙事詩になり得たと思います。
ラス前の、母べえが書こうとする手紙の内容を語りで聞かせるシーン、エンドロールで聞くことができる父べえの手紙(詩)の朗読が素晴らしいと思えるのは、当時の庶民として「唯一であり、最大の抵抗」はそんな手段しか無かったことを示すと同時に、現代を生きるわれわれに対する質問状であると感じられるからではないだろうか。
「あなたが大切に思うものは何ですか?」と……
文句ありません。素晴らしかった。
タイトルバックに麻の布を敷いた心意気が、そのまま観る者に伝わってきたと思います。
※解説
小津安二郎さんの映画のタイトルバックに多く使われた麻の布(この場合「母べえ」のタイトル文字の背面)を目にした瞬間に「期待しています」と高ぶった気持ちを、小津さん同様の家族を題材にした物語で素晴らしい映画を見せてくれた。ブラボー!
という意味になります。
監督:山田洋次
出演:吉永小百合、坂東三津五郎、浅野忠信
大人の演出の落ち着いた作品になっていたと思います。
山田さんきっと、吉永小百合さんの思うままにやらせたんじゃないか? と思えるほど「母べえ(吉永さん)こそ観てください!」と言っているようにも思えました。
いい悪いは別にして、吉永さんは本当にじっくりと自分の演技をしていたと思います。近ごろでは、演技者が腰を据えて取り組める作品というものは数少なくなってきましたし、高倉健さんも出番がめっきりありませんしね…
てらう演技など「貴女、もうおばさんなんだから作らなくていいのに!」(でも女心は失わない?)ってところまで出させてしまう、見事な演出のさじ加減だと思います。
子役も抜群で登場人物はみんな生きていたし、淡々と「母べえの生きた時代」を描くことで、昭和の時代の叙事詩になり得たと思います。
ラス前の、母べえが書こうとする手紙の内容を語りで聞かせるシーン、エンドロールで聞くことができる父べえの手紙(詩)の朗読が素晴らしいと思えるのは、当時の庶民として「唯一であり、最大の抵抗」はそんな手段しか無かったことを示すと同時に、現代を生きるわれわれに対する質問状であると感じられるからではないだろうか。
「あなたが大切に思うものは何ですか?」と……
文句ありません。素晴らしかった。
タイトルバックに麻の布を敷いた心意気が、そのまま観る者に伝わってきたと思います。
※解説
小津安二郎さんの映画のタイトルバックに多く使われた麻の布(この場合「母べえ」のタイトル文字の背面)を目にした瞬間に「期待しています」と高ぶった気持ちを、小津さん同様の家族を題材にした物語で素晴らしい映画を見せてくれた。ブラボー!
という意味になります。
2008/02/13
陰日向に咲く
2008.2.11
監督:平川雄一朗(知らな〜い!)
出演:岡田准一、宮崎あおい
出だしこそ「おっ、群像劇が始まるな」とのワクワク感があったのですが、どうももたついている感じが、原作者の劇団ひとりのギャグのように中途半端な印象を受けてしまい、何度もあくびしていました。(ダラダラ長いんだよねぇ)
岡田くんって、見ているだけでほのぼのとした気持ちにさせられる気がして、とってもいいキャラクターだと思います。唱って踊るより全然イイ! と思います。
あおいはもうエース! 大人顔になったし、表情を押さえられるようにもなってきたし、結婚もしたし(?)、「篤姫」なんかとっても可愛いし(あれはちとやり過ぎと思うが、すごくいい経験をしていると思う)、22歳でエースとはダルビッシュみたいなもんだね。
以上。
P.S. 映画監督の市川崑が亡くなられました(2/13)。ご冥福をお祈りいたします。「ありがとうございました!」
これからテレビで回顧放映があるかと思いますが、どれもいいのですが『黒い十人の女』をやっていたらチェックしてみてください。「黒い女」たちがカッコイイですから! あと『おとうと』『細雪』などなど……
わたしも、回顧します。
合掌。
監督:平川雄一朗(知らな〜い!)
出演:岡田准一、宮崎あおい
出だしこそ「おっ、群像劇が始まるな」とのワクワク感があったのですが、どうももたついている感じが、原作者の劇団ひとりのギャグのように中途半端な印象を受けてしまい、何度もあくびしていました。(ダラダラ長いんだよねぇ)
岡田くんって、見ているだけでほのぼのとした気持ちにさせられる気がして、とってもいいキャラクターだと思います。唱って踊るより全然イイ! と思います。
あおいはもうエース! 大人顔になったし、表情を押さえられるようにもなってきたし、結婚もしたし(?)、「篤姫」なんかとっても可愛いし(あれはちとやり過ぎと思うが、すごくいい経験をしていると思う)、22歳でエースとはダルビッシュみたいなもんだね。
以上。
P.S. 映画監督の市川崑が亡くなられました(2/13)。ご冥福をお祈りいたします。「ありがとうございました!」
これからテレビで回顧放映があるかと思いますが、どれもいいのですが『黒い十人の女』をやっていたらチェックしてみてください。「黒い女」たちがカッコイイですから! あと『おとうと』『細雪』などなど……
わたしも、回顧します。
合掌。
2008/01/30
椿三十郎
2008.1.20
監督:森田芳光
出演:織田裕二、豊川悦司
楽しゅうございました。
決してイヤミではございません。
しかし、ワクワク感が足りなかったのは演出のせい?──黒澤明が相手では。
迫力が足りなかったのは織田裕二、豊川悦司のせい?──三船敏郎、仲代達矢が相手では。
説教臭く感じなかったのは、わたしの歳のせい?──演出のセリフ指導だろうなぁ。
作り手も、観る側も及第点以上の満足感が得られたことと思います。
でも、どうせ観るなら昔の作品を! と思ってしまうのも仕方ないことと思われます。
ならば、目指すところは「新鮮さ」であると思うのですが「織田裕二が時代劇をやる!」ところに何か目新しさ・型破りなモノがないと、なかなか状況は打ち破れないと思います。
織田裕二の背が大きく見えなかったのは、演出? 実力?
三船敏郎は大きく見えたものなぁ〜!
だからぁ〜、はじめっから比較の対象に挑もうすること自体、無理があるんだってば!
P.S. 最近、トヨエツが輝きを失っているように思うのですが(普通のオッサン顔)、どうしたのだろうか。
監督:森田芳光
出演:織田裕二、豊川悦司
楽しゅうございました。
決してイヤミではございません。
しかし、ワクワク感が足りなかったのは演出のせい?──黒澤明が相手では。
迫力が足りなかったのは織田裕二、豊川悦司のせい?──三船敏郎、仲代達矢が相手では。
説教臭く感じなかったのは、わたしの歳のせい?──演出のセリフ指導だろうなぁ。
作り手も、観る側も及第点以上の満足感が得られたことと思います。
でも、どうせ観るなら昔の作品を! と思ってしまうのも仕方ないことと思われます。
ならば、目指すところは「新鮮さ」であると思うのですが「織田裕二が時代劇をやる!」ところに何か目新しさ・型破りなモノがないと、なかなか状況は打ち破れないと思います。
織田裕二の背が大きく見えなかったのは、演出? 実力?
三船敏郎は大きく見えたものなぁ〜!
だからぁ〜、はじめっから比較の対象に挑もうすること自体、無理があるんだってば!
P.S. 最近、トヨエツが輝きを失っているように思うのですが(普通のオッサン顔)、どうしたのだろうか。
2008/01/24
ALWAYS 続・三丁目の夕日
2008.1.12
監督:山崎貴
出演:吉岡秀隆、堤真一、薬師丸ひろ子
やっと観てきました。
ゴジラではなく、鈴木オート(堤真一)の大暴れが見たかったなぁ。
何だかラーメン屋の「全部盛り」(トッピングを全部入れる)みたいで、盛りだくさんな印象が強く、もう少し一品ずつ味わいたいという贅沢な気分にさせられました。
預けられた美加ちゃんのエピソードだけで、一話分の物語に広がると思えましたから。
と言うのも、シリーズ化して欲しいと思うからです。寅さんの子役だった満男が、今度は主役になって映画のシリーズが始まったらうれしいじゃないですか! それも人情喜劇。楽しみにしてるんだけどなぁー。
そこに薬師丸ひろ子がレギュラーだったりしたら、昔では想像すらできなかった事態に……
いや、年下の彼女には失礼なのですが「あんな母親だったら一平のようにデレデレと甘えられたのになぁ」(バカなことを言ってますが、これ結構男性心理の真理! じゃないかと思います)と、彼女の母親的な目線と笑い方にデレッとしてしまいました。
そういう感覚っておそらく高峰秀子さん以来のような気がしています(『二十四の瞳』とまでは言えませんが)。
本作からはドンドン離れていきますが、ちょうどその頃テレビで最近の『バブルへGO!!』をやっていて、薬師丸ひろ子が観たくて録画しました。
その映画の中でも「おかあさん似合ってる」と思っていた女性が、ショートヘアになった途端に「あの、昔の薬師丸ひろ子」に変身してしまうのですから「役者よのー」(こっちの方がもっと古い?)と、感心しきりでした。
高峰秀子さんの時代とはタイプは異なりますが、「女優は化け物だ」とのインパクトを与えながら楽しませてくれる役者になったんだ、と拍手を送りくなりました。
ついでにいいですか?
ついでと言っては失礼なのが、正月に録画した『魚影の群れ』です。
多分、映画館で一度しか観てないと思うのですが、自転車で坂道を下るたびに本作の夏目雅子のシーンを想起して「アー!」と心で叫ぶほど、強く残っていました。
当時も彼女が良かったとの印象が残っていたのですが、これほど「熟している」(役者として)とは思ってませんでした。
監督(相米慎二)が執拗に夏目雅子の尻を狙っているのが分かるのですが、それを堂々とケツで演技しきって見せる彼女の器に圧倒されました。
本作が最後の出演作だったそうです(当時25ですって)。
わたし自身が「人生を振り返る季節」に差しかかってきたのかも知れませんが、どうもここ数年ことあるごとに夏目雅子を思い出して、再度認識を高めようとしております。(昔はハッキリ言って、意識していませんでした)
──確かに現在、彼女のような女優さんが不在であることは確かなのですが……
薬師丸ひろ子も相米慎二に若いころに鍛えられたと考えると(『翔んだカップル』『セーラー服と機関銃』)、師も弟も不在ということなのだろうか?
監督:山崎貴
出演:吉岡秀隆、堤真一、薬師丸ひろ子
やっと観てきました。
ゴジラではなく、鈴木オート(堤真一)の大暴れが見たかったなぁ。
何だかラーメン屋の「全部盛り」(トッピングを全部入れる)みたいで、盛りだくさんな印象が強く、もう少し一品ずつ味わいたいという贅沢な気分にさせられました。
預けられた美加ちゃんのエピソードだけで、一話分の物語に広がると思えましたから。
と言うのも、シリーズ化して欲しいと思うからです。寅さんの子役だった満男が、今度は主役になって映画のシリーズが始まったらうれしいじゃないですか! それも人情喜劇。楽しみにしてるんだけどなぁー。
そこに薬師丸ひろ子がレギュラーだったりしたら、昔では想像すらできなかった事態に……
いや、年下の彼女には失礼なのですが「あんな母親だったら一平のようにデレデレと甘えられたのになぁ」(バカなことを言ってますが、これ結構男性心理の真理! じゃないかと思います)と、彼女の母親的な目線と笑い方にデレッとしてしまいました。
そういう感覚っておそらく高峰秀子さん以来のような気がしています(『二十四の瞳』とまでは言えませんが)。
本作からはドンドン離れていきますが、ちょうどその頃テレビで最近の『バブルへGO!!』をやっていて、薬師丸ひろ子が観たくて録画しました。
その映画の中でも「おかあさん似合ってる」と思っていた女性が、ショートヘアになった途端に「あの、昔の薬師丸ひろ子」に変身してしまうのですから「役者よのー」(こっちの方がもっと古い?)と、感心しきりでした。
高峰秀子さんの時代とはタイプは異なりますが、「女優は化け物だ」とのインパクトを与えながら楽しませてくれる役者になったんだ、と拍手を送りくなりました。
ついでにいいですか?
ついでと言っては失礼なのが、正月に録画した『魚影の群れ』です。
多分、映画館で一度しか観てないと思うのですが、自転車で坂道を下るたびに本作の夏目雅子のシーンを想起して「アー!」と心で叫ぶほど、強く残っていました。
当時も彼女が良かったとの印象が残っていたのですが、これほど「熟している」(役者として)とは思ってませんでした。
監督(相米慎二)が執拗に夏目雅子の尻を狙っているのが分かるのですが、それを堂々とケツで演技しきって見せる彼女の器に圧倒されました。
本作が最後の出演作だったそうです(当時25ですって)。
わたし自身が「人生を振り返る季節」に差しかかってきたのかも知れませんが、どうもここ数年ことあるごとに夏目雅子を思い出して、再度認識を高めようとしております。(昔はハッキリ言って、意識していませんでした)
──確かに現在、彼女のような女優さんが不在であることは確かなのですが……
薬師丸ひろ子も相米慎二に若いころに鍛えられたと考えると(『翔んだカップル』『セーラー服と機関銃』)、師も弟も不在ということなのだろうか?
2007/12/19
恋空
2007.12.16 恋空
監督:今井夏木
出演:新垣結衣、三浦春馬
「ガッキー」観てきました。
原作は少女漫画か? と言うのも「少女残酷物語」をきっちりと伝えたいという意志を受け止めたからです。
出所はケータイ小説だそうですが、その意志は演出(女性)によるようです。
このような物語を伝えたい、という気持ちは理解できるのですが、「初恋」「レイプ」「妊娠〜流産」…… といったパズルを組み合わせただけの物語にしか感じられず、どこにも感情移入できぬままにストーリーは転がっていってしまいます。
読んでないのでこんなこと言ったらしかられるかも知れませんが、原作の軽さを損なわずにすくい取りながらも、吉永小百合さん主演映画のテイストを目指していたのではないか? そんな印象もありますが、決して成功しているとは言えないと思います。
とは言え、ガッキー自身は「この映画が目指す主題」を信じ切って動き回っていることは伝わってきますし、光る場面もあったことは確かです。
だから、そんな彼女の肉体から「純」なる精神を感じてくれと言うのでは、演出を放棄していると言わざるをえません。
褒めたいと思うのは、ケータイの使い方がとても物語になじんでいると感じられたところくらいか……
「ガッキー」って、新たな「ガキの使いや…」等のキャラかと思っていました。
可愛いけれど、特徴(売り)がないのでは?
それにしてもデッカイよね、いまどきの娘っ子は。
長沢まさみに続く「(体が)大型新人」ということで、今後に期待しましょう。
そうそう、三浦春馬クンも忘れずに。
監督:今井夏木
出演:新垣結衣、三浦春馬
「ガッキー」観てきました。
原作は少女漫画か? と言うのも「少女残酷物語」をきっちりと伝えたいという意志を受け止めたからです。
出所はケータイ小説だそうですが、その意志は演出(女性)によるようです。
このような物語を伝えたい、という気持ちは理解できるのですが、「初恋」「レイプ」「妊娠〜流産」…… といったパズルを組み合わせただけの物語にしか感じられず、どこにも感情移入できぬままにストーリーは転がっていってしまいます。
読んでないのでこんなこと言ったらしかられるかも知れませんが、原作の軽さを損なわずにすくい取りながらも、吉永小百合さん主演映画のテイストを目指していたのではないか? そんな印象もありますが、決して成功しているとは言えないと思います。
とは言え、ガッキー自身は「この映画が目指す主題」を信じ切って動き回っていることは伝わってきますし、光る場面もあったことは確かです。
だから、そんな彼女の肉体から「純」なる精神を感じてくれと言うのでは、演出を放棄していると言わざるをえません。
褒めたいと思うのは、ケータイの使い方がとても物語になじんでいると感じられたところくらいか……
「ガッキー」って、新たな「ガキの使いや…」等のキャラかと思っていました。
可愛いけれど、特徴(売り)がないのでは?
それにしてもデッカイよね、いまどきの娘っ子は。
長沢まさみに続く「(体が)大型新人」ということで、今後に期待しましょう。
そうそう、三浦春馬クンも忘れずに。
2007/10/18
サウスバウンド
2007.10.14 サウスバウンド
監督:森田芳光
出演:豊川悦司、天海祐希
タマには沖縄の風景を見たいと足を運びました。
沖縄にミスマッチな森田芳光ゆえ、何か偶然でも面白いモノになってくれないか? との期待もチラッとありました。
しかし、森田の外れはトコトンですから、映画2ヶ月ぶりのわたしにはこたえました……
「一家揃って西表島に移住」と聞いたのに、どうも西表っぽくない景色と、それを見せようとしない狭いアングル(小さな絵)。
エンドロールの「協力 今帰仁村」とあり「何だよ本島で撮ったんだ」(看板に偽りあり!)とガッカリ。
監督には風土への関心は無かったという事のようで(あの人では当たり前か?)、期待した方が間違いであったことを反省しています。
映画は、数観なきゃ当たりませんからね。これから寒くなって来ますし、もう少し通うようにしませう。
監督:森田芳光
出演:豊川悦司、天海祐希
タマには沖縄の風景を見たいと足を運びました。
沖縄にミスマッチな森田芳光ゆえ、何か偶然でも面白いモノになってくれないか? との期待もチラッとありました。
しかし、森田の外れはトコトンですから、映画2ヶ月ぶりのわたしにはこたえました……
「一家揃って西表島に移住」と聞いたのに、どうも西表っぽくない景色と、それを見せようとしない狭いアングル(小さな絵)。
エンドロールの「協力 今帰仁村」とあり「何だよ本島で撮ったんだ」(看板に偽りあり!)とガッカリ。
監督には風土への関心は無かったという事のようで(あの人では当たり前か?)、期待した方が間違いであったことを反省しています。
映画は、数観なきゃ当たりませんからね。これから寒くなって来ますし、もう少し通うようにしませう。
2007/08/07
夕凪の街 桜の国
2007.07.28 夕凪の街 桜の国
監督:佐々部清
出演:麻生久美子、田中麗奈、藤村志保、堺正章
志は素晴らしいと思うのだが、それが結実したかと問われると、首をかしげてしまいます。
原爆の話しを受け継いでいくことはとても大切なことで、銭湯で火傷を負った人たちばかりであることを示したり、「みんなどうしていいか分からなかった」という、当事者の主観的な心情の表現にも訴える力があると思う。
原爆の影響は遺伝子にまで及び、それは被害者一族が絶滅するまで広がり続ける、ということがテーマだと思われるが、観客は思い入れしにくかったのではないかと思う。
それは、殺しても死なないであろう(この文章中においては失言ですね)象徴としての田中麗奈が放つ生命力が強すぎたからではないか、と思うからである。
物語が進むにつれて「わたしは一人きりになったとしても、絶対に生き残ってやるんだ!」との強い意志を持つ、田中麗奈の存在が引き立っていくべきだと思うのだが、彼女の登場シーンから既にテーマよりも何よりも「なっちゃん自身が放っている生命力」の方が勝ってしまったいた、と思えて仕方ないのです。
──この監督下手だよ! ストーリーをなぞっているだけという印象ばかりが残っていますもの。
麻生久美子の時代に緩衝材的存在を設定して、現代の父親ではない存在に物語の道先案内を任せるとか(父だから言えない事など何もないと、あからさまに全部説明されており、心の動きを感じさせなかったので)、田中麗奈が現在において何か悩みを抱えているくらいの陰を与えないと、あまりにストレート過ぎて「提出前日にやっつけで書いた夏休みの宿題」のように見えてしまうと思います。
「殺しても死なない」個性派俳優としてなら、田中麗奈は結構いい線いけるかも、と思ってしまいました。
確かに大人になって、キレイになってきたけど、ファニーフェイス(実に奇妙な顔立ち)には違いなく、これから使われるかも、と言うか観てみたい気がしてきました。
──どうも最近、若手女優への評価が変わってきているのは、趣味が変わってきたということなのか? より、オッサン化が進んだのか?
監督:佐々部清
出演:麻生久美子、田中麗奈、藤村志保、堺正章
志は素晴らしいと思うのだが、それが結実したかと問われると、首をかしげてしまいます。
原爆の話しを受け継いでいくことはとても大切なことで、銭湯で火傷を負った人たちばかりであることを示したり、「みんなどうしていいか分からなかった」という、当事者の主観的な心情の表現にも訴える力があると思う。
原爆の影響は遺伝子にまで及び、それは被害者一族が絶滅するまで広がり続ける、ということがテーマだと思われるが、観客は思い入れしにくかったのではないかと思う。
それは、殺しても死なないであろう(この文章中においては失言ですね)象徴としての田中麗奈が放つ生命力が強すぎたからではないか、と思うからである。
物語が進むにつれて「わたしは一人きりになったとしても、絶対に生き残ってやるんだ!」との強い意志を持つ、田中麗奈の存在が引き立っていくべきだと思うのだが、彼女の登場シーンから既にテーマよりも何よりも「なっちゃん自身が放っている生命力」の方が勝ってしまったいた、と思えて仕方ないのです。
──この監督下手だよ! ストーリーをなぞっているだけという印象ばかりが残っていますもの。
麻生久美子の時代に緩衝材的存在を設定して、現代の父親ではない存在に物語の道先案内を任せるとか(父だから言えない事など何もないと、あからさまに全部説明されており、心の動きを感じさせなかったので)、田中麗奈が現在において何か悩みを抱えているくらいの陰を与えないと、あまりにストレート過ぎて「提出前日にやっつけで書いた夏休みの宿題」のように見えてしまうと思います。
「殺しても死なない」個性派俳優としてなら、田中麗奈は結構いい線いけるかも、と思ってしまいました。
確かに大人になって、キレイになってきたけど、ファニーフェイス(実に奇妙な顔立ち)には違いなく、これから使われるかも、と言うか観てみたい気がしてきました。
──どうも最近、若手女優への評価が変わってきているのは、趣味が変わってきたということなのか? より、オッサン化が進んだのか?
サイドカーに犬
2007.07.21 サイドカーに犬
監督:根岸吉太郎
出演:竹内結子、松本花奈、古田新太
乳歯が抜ける時分(小学四年)の少女が出会った不思議な父の愛人とのひと夏の経験。
何もかもが幻のようにあっけない時間だったが、そんな刹那に少女は自転車に乗れるようになった。ちょっと遅かったけど、乗れるようになったその夏を振り返ると、キラキラと輝いていたその女性が目に浮かんでくる。
少女が自我に目覚めるのは、初潮よりも前の変調であるところに早熟化の傾向を見つめる視点がいいと思います(でも変化には、血の印象はつきまとってしまうのか?)
夜のサイドカーのシーンには、70〜80年代のけだるくも決して後ろ向きではない時代の空気が漂っており、根岸監督のデビュー時代でもあったりするのだが、何であの頃の空気を出せる人は何でみな日活出身なんだろうと思ってしまいました。(神代辰巳、藤田敏八←漢字忘れちゃったよ、情けない… 時は過ぎてゆくー♪)
竹内結子を初めていいと思いました。
可愛い子ちゃん、人気女優として扱わなくてよくなった時期の公開だったのもタイミングとして良かったと思われます(髪の毛長かったから、出産前に撮ったのか?)。
媚びた演技をしてないと言うか、監督が要求していないので彼女も伸び伸びと動けたのではないか、という気がしました。
先日の松嶋菜々子への驚きと同様、いい女優がいないんじゃなくて、いい女に魅せられる演出家がいないということか、と目から鱗の思いがしました。
こういう、身近な物語が少なくなってしまいましたね……
監督:根岸吉太郎
出演:竹内結子、松本花奈、古田新太
乳歯が抜ける時分(小学四年)の少女が出会った不思議な父の愛人とのひと夏の経験。
何もかもが幻のようにあっけない時間だったが、そんな刹那に少女は自転車に乗れるようになった。ちょっと遅かったけど、乗れるようになったその夏を振り返ると、キラキラと輝いていたその女性が目に浮かんでくる。
少女が自我に目覚めるのは、初潮よりも前の変調であるところに早熟化の傾向を見つめる視点がいいと思います(でも変化には、血の印象はつきまとってしまうのか?)
夜のサイドカーのシーンには、70〜80年代のけだるくも決して後ろ向きではない時代の空気が漂っており、根岸監督のデビュー時代でもあったりするのだが、何であの頃の空気を出せる人は何でみな日活出身なんだろうと思ってしまいました。(神代辰巳、藤田敏八←漢字忘れちゃったよ、情けない… 時は過ぎてゆくー♪)
竹内結子を初めていいと思いました。
可愛い子ちゃん、人気女優として扱わなくてよくなった時期の公開だったのもタイミングとして良かったと思われます(髪の毛長かったから、出産前に撮ったのか?)。
媚びた演技をしてないと言うか、監督が要求していないので彼女も伸び伸びと動けたのではないか、という気がしました。
先日の松嶋菜々子への驚きと同様、いい女優がいないんじゃなくて、いい女に魅せられる演出家がいないということか、と目から鱗の思いがしました。
こういう、身近な物語が少なくなってしまいましたね……
2007/07/19
憑神
2007.07.16 憑神(つきがみ)
監督:降旗康男
出演:妻夫木聡、西田敏行、香川照之
こんな娯楽時代劇作りに、だいの大人たちが集まって真剣に遊んでいる姿を思い浮かべたとき「これが文化かも知れない」、そんな豊かさに「大人じゃなきゃできないよな」という老練の魅力を久しぶりに感じさせてもらいました。
──ブッキーがヒヨッ子に見えたもの(彼には絶対に勉強になってると思う)。
浅田次郎原作の枠組みは、結末から組み上げていったのではないか、と想像されます。
テーマは「日本人によるラストサムライの物語」、そして本来の題名は「死神に惚れられた男(侍)」というもので、そこに疫病神や貧乏神を付加していったのではないか? と思ったりしました。
仮にそんな具合にバラしたとしても、パーツがそれぞれ魅力的なので再度組み立てられるところが、作家の力量と言えるのではないでしょうか。
──ラストに浅田次郎を登場させても、映画は揺るがないという自信を持っているところがスゴイと思います。
とにもかくにも、全編から感じられる「遊び心」「軽い空気」を楽しんで観られたことが最大の魅力でしょう。
これを、今年の1位にしたいと言ったら、ひんしゅくをかってしまうだろうか?
監督:降旗康男
出演:妻夫木聡、西田敏行、香川照之
こんな娯楽時代劇作りに、だいの大人たちが集まって真剣に遊んでいる姿を思い浮かべたとき「これが文化かも知れない」、そんな豊かさに「大人じゃなきゃできないよな」という老練の魅力を久しぶりに感じさせてもらいました。
──ブッキーがヒヨッ子に見えたもの(彼には絶対に勉強になってると思う)。
浅田次郎原作の枠組みは、結末から組み上げていったのではないか、と想像されます。
テーマは「日本人によるラストサムライの物語」、そして本来の題名は「死神に惚れられた男(侍)」というもので、そこに疫病神や貧乏神を付加していったのではないか? と思ったりしました。
仮にそんな具合にバラしたとしても、パーツがそれぞれ魅力的なので再度組み立てられるところが、作家の力量と言えるのではないでしょうか。
──ラストに浅田次郎を登場させても、映画は揺るがないという自信を持っているところがスゴイと思います。
とにもかくにも、全編から感じられる「遊び心」「軽い空気」を楽しんで観られたことが最大の魅力でしょう。
これを、今年の1位にしたいと言ったら、ひんしゅくをかってしまうだろうか?
2007/06/19
しゃべれども、しゃべれども
2007.06.17 しゃべれども、しゃべれども
監督:平山秀幸 脚本:奥寺佐渡子
出演:国分太一、香里奈、伊東四朗、八千草薫(!)
コミュニケーションの原点は「話すこと」を軸足に、人間の成長過程を追う主題には好感が持て、とても楽しんで観ることができました。
こんな王道的なストーリーをエンターテイメントの味付けを加えて、見せてしまうところが「日本映画界のエース!」(個人的見解です)たるゆえんかも知れない(と、またも勝手な思い入れをしてます)。
実にテンポのいい演出で「当たり前のような風景」を提供してくれ、平山さんお見事! なのですが……
この人、演技指導的なこと(内面に関して)は得意ではないのかも知れない、と思うところが目につきました。
国分くんの見てくれ(表に見える部分)には引かれるところあるのですが、心の表情が見えてこなかった印象がありますし、香里奈が浮いていたのは、どうにもならなかったのか? と思ってしまいます。ストーリー的には必要かも知れないが、絵の中では完全に浮いていたというか、意図的に浮かされていたように見受けられました。
それは、演出意図なのだから仕方ないのかも知れませんが、本作の伊東四朗や、以前の作品での長塚京三、原田美枝子など、技術を持った役者の引き立て方は本当に見事なのに、若手から潜在能力を引き出す力はあまり持ち合わせておられないように見受けられました。(『ターン』の牧瀬里穂だけが特別だったのだろうか?)
それでも、次回作楽しみにしております。
P.S. 平山さん!
黒木和雄さん、今村昌平さんに続いて熊井啓さんまでもが去られた日本映画界を、これから背負ってもらわないといけないんですから……
監督:平山秀幸 脚本:奥寺佐渡子
出演:国分太一、香里奈、伊東四朗、八千草薫(!)
コミュニケーションの原点は「話すこと」を軸足に、人間の成長過程を追う主題には好感が持て、とても楽しんで観ることができました。
こんな王道的なストーリーをエンターテイメントの味付けを加えて、見せてしまうところが「日本映画界のエース!」(個人的見解です)たるゆえんかも知れない(と、またも勝手な思い入れをしてます)。
実にテンポのいい演出で「当たり前のような風景」を提供してくれ、平山さんお見事! なのですが……
この人、演技指導的なこと(内面に関して)は得意ではないのかも知れない、と思うところが目につきました。
国分くんの見てくれ(表に見える部分)には引かれるところあるのですが、心の表情が見えてこなかった印象がありますし、香里奈が浮いていたのは、どうにもならなかったのか? と思ってしまいます。ストーリー的には必要かも知れないが、絵の中では完全に浮いていたというか、意図的に浮かされていたように見受けられました。
それは、演出意図なのだから仕方ないのかも知れませんが、本作の伊東四朗や、以前の作品での長塚京三、原田美枝子など、技術を持った役者の引き立て方は本当に見事なのに、若手から潜在能力を引き出す力はあまり持ち合わせておられないように見受けられました。(『ターン』の牧瀬里穂だけが特別だったのだろうか?)
それでも、次回作楽しみにしております。
P.S. 平山さん!
黒木和雄さん、今村昌平さんに続いて熊井啓さんまでもが去られた日本映画界を、これから背負ってもらわないといけないんですから……
2007/06/05
あしたの私のつくり方
2007.06.03 あしたの私のつくり方
監督:市川準
出演:成海璃子
人は、閉塞感にさいなまれた時、その状況を変えたいと願うが、どう解決されたら満足なのかと考えたとき「自分の理想を思い描き、思い通りの行動ができる」ことを望むと思う。
それが仮に実現し、閉塞感から解放されたとき、その人は引き戻されるであろう「現実」との対峙を迫られる。
その折り合いの付け方として、主人公たちに現実をキッチリと受け止めさせ、新たな一歩を踏み出させている本作は、タイトルに対する答えをきちんと映像化していると思える。
成海璃子は、まだ演技未満とは言え「瑠璃の島」(TV)以来、存在感があってどんな成長を見せてくれるのか楽しみな娘(まだ14歳だって!)です。
石原良純・真理子の夫婦は「うまくいくわけがない」配役とセリフで、決め打ちしちゃってよかったのか? 観る側には分かりやすいと思うが、定番過ぎやしないだろうかという気がした。
それにしても、女子の世界(理解不能)は大変そうだということだけは理解できた、気がする……
監督:市川準
出演:成海璃子
人は、閉塞感にさいなまれた時、その状況を変えたいと願うが、どう解決されたら満足なのかと考えたとき「自分の理想を思い描き、思い通りの行動ができる」ことを望むと思う。
それが仮に実現し、閉塞感から解放されたとき、その人は引き戻されるであろう「現実」との対峙を迫られる。
その折り合いの付け方として、主人公たちに現実をキッチリと受け止めさせ、新たな一歩を踏み出させている本作は、タイトルに対する答えをきちんと映像化していると思える。
成海璃子は、まだ演技未満とは言え「瑠璃の島」(TV)以来、存在感があってどんな成長を見せてくれるのか楽しみな娘(まだ14歳だって!)です。
石原良純・真理子の夫婦は「うまくいくわけがない」配役とセリフで、決め打ちしちゃってよかったのか? 観る側には分かりやすいと思うが、定番過ぎやしないだろうかという気がした。
それにしても、女子の世界(理解不能)は大変そうだということだけは理解できた、気がする……
2007/05/28
眉山
2007.05.27 眉山
監督:犬童一心
出演:松嶋菜々子、宮本信子、大沢たかお
阿波踊りの熱気が、そのまま生きる喜びを爆発させ生命賛歌に昇華しているように思え、涙が止まらなかった。
参加された連(れん:踊りのグループ)の方々には申し訳ないが、踊りの美しさではなく(輝いていた!)、熱気・情熱に心動かされました。こんなにも大勢の真剣な表情を見たのは久しぶりという気がしました。
で、恋愛の話しはどうでもよかったんだよねぇ?
母のためにと生命力の奔流(踊りの波)に身を投じることで、自らのアイデンティティをつかみ取った娘のお話しなんだから。と言いたくなるほど、恋愛部分の印象は弱かった。
恋愛は過程じゃなく結果(子孫に思いを伝え、自立させること)が大切だと言いたいんだよね?
それは十分に伝わっていると思います。
宮本信子自身、吹っ切れたから久しぶりの映画出演なのだろうか?(下世話な話しでスミマセン)とても素敵でした。
松嶋菜々子の容姿はアップになると奇妙な顔立ちが際だってしまうが、シワやソバカスなどをさらけ出してなお、凜とした表情で自身の姿を見せようとする心意気に、人って肝を据えないと他人の心を動かせないものなのだと感じさせられ、同時にそんな気持ちが伝わってきて、大人になったんだろうなあと心で拍手を送りました。
監督も、食堂で段ボール破る程度のおふざけで済むようになったのだから、大人になったんだろうなあ……
一方の大沢たかおは、相変わらずの少年のような演技に見えたのだが、男ってきっとそれでいいのかも知れない、と。
揚げ足を取るように聞こえるかも知れませんが、これでとても褒めているつもりなのです。
久しぶりのうれしい気持ちなので、思わず軽口が出てしまったという感じでしょうか。
これを機に、阿波踊りも頑張らないと、高知のよさこいは全国に飛び火しているからなあ……
P.S. 映画の中では、山が結構キーになることがあるのですが、この眉山の印象と言えば「山頂の鉄塔やアンテナ」ということになってしまうかなあ、と思います。実際、以前行ったときの印象もそうでした……
「まだ、足を引っ張るんかい?」
大丈夫、いいものはいいんだから。
監督:犬童一心
出演:松嶋菜々子、宮本信子、大沢たかお
阿波踊りの熱気が、そのまま生きる喜びを爆発させ生命賛歌に昇華しているように思え、涙が止まらなかった。
参加された連(れん:踊りのグループ)の方々には申し訳ないが、踊りの美しさではなく(輝いていた!)、熱気・情熱に心動かされました。こんなにも大勢の真剣な表情を見たのは久しぶりという気がしました。
で、恋愛の話しはどうでもよかったんだよねぇ?
母のためにと生命力の奔流(踊りの波)に身を投じることで、自らのアイデンティティをつかみ取った娘のお話しなんだから。と言いたくなるほど、恋愛部分の印象は弱かった。
恋愛は過程じゃなく結果(子孫に思いを伝え、自立させること)が大切だと言いたいんだよね?
それは十分に伝わっていると思います。
宮本信子自身、吹っ切れたから久しぶりの映画出演なのだろうか?(下世話な話しでスミマセン)とても素敵でした。
松嶋菜々子の容姿はアップになると奇妙な顔立ちが際だってしまうが、シワやソバカスなどをさらけ出してなお、凜とした表情で自身の姿を見せようとする心意気に、人って肝を据えないと他人の心を動かせないものなのだと感じさせられ、同時にそんな気持ちが伝わってきて、大人になったんだろうなあと心で拍手を送りました。
監督も、食堂で段ボール破る程度のおふざけで済むようになったのだから、大人になったんだろうなあ……
一方の大沢たかおは、相変わらずの少年のような演技に見えたのだが、男ってきっとそれでいいのかも知れない、と。
揚げ足を取るように聞こえるかも知れませんが、これでとても褒めているつもりなのです。
久しぶりのうれしい気持ちなので、思わず軽口が出てしまったという感じでしょうか。
これを機に、阿波踊りも頑張らないと、高知のよさこいは全国に飛び火しているからなあ……
P.S. 映画の中では、山が結構キーになることがあるのですが、この眉山の印象と言えば「山頂の鉄塔やアンテナ」ということになってしまうかなあ、と思います。実際、以前行ったときの印象もそうでした……
「まだ、足を引っ張るんかい?」
大丈夫、いいものはいいんだから。
2007/05/21
初雪の恋
2007.05.20 初雪の恋
監督:ハン・サンヒ
出演:イ・ジュンギ、宮崎あおい
韓国向けの京都観光案内映画と思ったら、どうも日本映画らしい。
それでも、韓国のテレビドラマの域をでていない出来としか思えないのは、韓国へ売り込もうという魂胆なのか?
はたまた、日本の韓流ファンを鼻で笑ったような制作意図なのか?
イ・ジュンギは可愛いのだけれど、学芸会レベルでは人の心は動かせない。
それが目当てのおばちゃん(?)に袋だたきに遭いそう。
観た理由の一つ、京都ロケ地判別に望んだものの、主たる舞台の 松尾大社は分からなかった。
東山方面を想定してしまったのは、清水寺界隈に惑わされたか? もっと、ちゃんと見て歩かねば。
もう一つの理由の宮崎あおい(若手演技派No.1とは言え、ライバルなんかいない)は、20代を迎え(22だそうな)ここから難しそうだと思っていたのだが、もうすでに大人の落ち着きの表現も身につけているようで、まだ期待できそうと感じたのですが、さていかに?
一夜明けて、京都のロマンチックな状況の余韻だけが頭の中をめぐっていることに、物語の内容はともかくとしても舞台としての装置・環境にはもってこいの場所であることを再認識させられました。
女性に人気があるのは理解できますが、男こそロマンチックであるべきと思うのですが……
京都で「国内異文化コミュニケーション会議」「文化博」のようなことをやれたら、面白いのではないだろうか?
日本人は、文化のルーツは京都・奈良(東京ではない)と思っているはずでしょうし、ガイジンも喜ぶのではないでしょうか。
映画とは関係ない京都の話しになってしまいました。
監督:ハン・サンヒ
出演:イ・ジュンギ、宮崎あおい
韓国向けの京都観光案内映画と思ったら、どうも日本映画らしい。
それでも、韓国のテレビドラマの域をでていない出来としか思えないのは、韓国へ売り込もうという魂胆なのか?
はたまた、日本の韓流ファンを鼻で笑ったような制作意図なのか?
イ・ジュンギは可愛いのだけれど、学芸会レベルでは人の心は動かせない。
それが目当てのおばちゃん(?)に袋だたきに遭いそう。
観た理由の一つ、京都ロケ地判別に望んだものの、主たる舞台の 松尾大社は分からなかった。
東山方面を想定してしまったのは、清水寺界隈に惑わされたか? もっと、ちゃんと見て歩かねば。
もう一つの理由の宮崎あおい(若手演技派No.1とは言え、ライバルなんかいない)は、20代を迎え(22だそうな)ここから難しそうだと思っていたのだが、もうすでに大人の落ち着きの表現も身につけているようで、まだ期待できそうと感じたのですが、さていかに?
一夜明けて、京都のロマンチックな状況の余韻だけが頭の中をめぐっていることに、物語の内容はともかくとしても舞台としての装置・環境にはもってこいの場所であることを再認識させられました。
女性に人気があるのは理解できますが、男こそロマンチックであるべきと思うのですが……
京都で「国内異文化コミュニケーション会議」「文化博」のようなことをやれたら、面白いのではないだろうか?
日本人は、文化のルーツは京都・奈良(東京ではない)と思っているはずでしょうし、ガイジンも喜ぶのではないでしょうか。
映画とは関係ない京都の話しになってしまいました。
2007/05/15
東京タワー オカンとボクと、時々、オトン
2007.05.06 東京タワー オカンとボクと、時々、オトン
監督:松岡錠司
出演:オダギリジョー、樹木希林、小林薫、内田也哉子
堕落的風体である、リリー・フランキーの孝行姿だから涙を誘うのだろう。
堕落していく青年の姿は、ごくありがちな「なまけもの」程度の描写であっても、リリー・フランキーなら相当ひどかったのだろうと、変な意味での深読みができるところが、奥行きを広げていると思える。(こんな褒め方あり?)
オダギリジョーがリリー・フランキーを想起させるように、樹木希林を想起させるには娘の内田也哉子(ややこ)をおいて他にはない。見事な配役。
この映画において、東京(タワー)の存在理由とは何だったのだろうか?
オトンのタワー建設中の写真や、学問のためという大義名分、夢や仕事を求めて、という展開も理解できるが、それは答えではない。
オカンは、東京タワーを見たかったのではなく「息子と一緒に暮らしたかった」だけなのであろう。
オトンと共に一家そろった家族の風景にも、東京タワーは「ライトアップされたボタ山」のような距離感を持って映っている。
現在東京に暮らす人で、東京タワーに登ったことのない(興味のない)人が多いことは、筑豊のボタ山と同じく「当たり前のように存在している人工物」という、景色のような存在であるからかもしれない。
詳しい時期は分からないが、双方とも高度成長期と共に高くそびえていったであろうことを踏まえると、昭和の時代の遺物(残骸)として、この映画には登場していたのではないだろうか。
樹木希林は演技というよりも、自身をさらけ出すことによって存在感を出そうとしているように見えた。
そこにいるのは演技者であるが、まさしく「樹木希林」以外の何ものでもない姿であったように思う。その圧倒的存在感に涙を誘われた。
彼女に、何か賞をあげて欲しいと思うのは、わたしだけだろうか?
監督:松岡錠司
出演:オダギリジョー、樹木希林、小林薫、内田也哉子
堕落的風体である、リリー・フランキーの孝行姿だから涙を誘うのだろう。
堕落していく青年の姿は、ごくありがちな「なまけもの」程度の描写であっても、リリー・フランキーなら相当ひどかったのだろうと、変な意味での深読みができるところが、奥行きを広げていると思える。(こんな褒め方あり?)
オダギリジョーがリリー・フランキーを想起させるように、樹木希林を想起させるには娘の内田也哉子(ややこ)をおいて他にはない。見事な配役。
この映画において、東京(タワー)の存在理由とは何だったのだろうか?
オトンのタワー建設中の写真や、学問のためという大義名分、夢や仕事を求めて、という展開も理解できるが、それは答えではない。
オカンは、東京タワーを見たかったのではなく「息子と一緒に暮らしたかった」だけなのであろう。
オトンと共に一家そろった家族の風景にも、東京タワーは「ライトアップされたボタ山」のような距離感を持って映っている。
現在東京に暮らす人で、東京タワーに登ったことのない(興味のない)人が多いことは、筑豊のボタ山と同じく「当たり前のように存在している人工物」という、景色のような存在であるからかもしれない。
詳しい時期は分からないが、双方とも高度成長期と共に高くそびえていったであろうことを踏まえると、昭和の時代の遺物(残骸)として、この映画には登場していたのではないだろうか。
樹木希林は演技というよりも、自身をさらけ出すことによって存在感を出そうとしているように見えた。
そこにいるのは演技者であるが、まさしく「樹木希林」以外の何ものでもない姿であったように思う。その圧倒的存在感に涙を誘われた。
彼女に、何か賞をあげて欲しいと思うのは、わたしだけだろうか?
2007/04/18
アルゼンチンババア
2007.04.01 アルゼンチンババア
監督:長尾直樹
出演:役所広司、鈴木京香、堀北真希
役所広司、鈴木京香というビッグネームを並べられたと言うことは、企画に力があったということでしょうから、原作ってのがかなり魅力的なんだと思われます。しかし、その期待は開巻と共に崩れ去ってしまいました。
演出の落ち着きの無さと、脚本が子ども(娘)側に寄り過ぎていると感じるのは、自信の無さから生じているのでは、と受け取れてしまった。
とにもかくにも、アルゼンチンババアが全然生かされていないのは致命的である。
妖しさや、近寄りがたいくも魅力的な姿に見えないのだ。鈴木京香の「魔女的(?)メイク」とても似合うのに(彼女の整った顔立ちだから栄える)、実にもったいない……
彼女が踊るタンゴ(アルゼンチン?)も、堀北真希に教えるダンス教室のレッスンのようで、何の色気も感じさせてくれない。
「情熱」のかけらすら感じさせない人物たちでは、何のための「アルゼンチン」だったのか、と聞いてみたくなる。
子ども(娘)側に活路を求めたのが、間違いのもとと思う。もっと大人の話にすべきだったのではないか……(原作もそうだったのか?)
後で、演出が『鉄塔武蔵野線』の監督と知り、はじめから無理があったのではないか、と思ってしまった。
この監督であれば「鉄塔」をシンボルとしたように、「ババアの洋館」(すごい表現だなあ)の核になる存在を設定しようとしたはずと思えるのだが、それが「石のマンダラ」だとしたら消化不良に終わってしまった気がする。
「イルカの石像」の情景はとても好きなのだが、取って付けた子供だましのように見えてしまった……
『アルゼンチンババア』
なんてインパクトのあるタイトル!
観に行くぞと期待していたのに、残念……
監督:長尾直樹
出演:役所広司、鈴木京香、堀北真希
役所広司、鈴木京香というビッグネームを並べられたと言うことは、企画に力があったということでしょうから、原作ってのがかなり魅力的なんだと思われます。しかし、その期待は開巻と共に崩れ去ってしまいました。
演出の落ち着きの無さと、脚本が子ども(娘)側に寄り過ぎていると感じるのは、自信の無さから生じているのでは、と受け取れてしまった。
とにもかくにも、アルゼンチンババアが全然生かされていないのは致命的である。
妖しさや、近寄りがたいくも魅力的な姿に見えないのだ。鈴木京香の「魔女的(?)メイク」とても似合うのに(彼女の整った顔立ちだから栄える)、実にもったいない……
彼女が踊るタンゴ(アルゼンチン?)も、堀北真希に教えるダンス教室のレッスンのようで、何の色気も感じさせてくれない。
「情熱」のかけらすら感じさせない人物たちでは、何のための「アルゼンチン」だったのか、と聞いてみたくなる。
子ども(娘)側に活路を求めたのが、間違いのもとと思う。もっと大人の話にすべきだったのではないか……(原作もそうだったのか?)
後で、演出が『鉄塔武蔵野線』の監督と知り、はじめから無理があったのではないか、と思ってしまった。
この監督であれば「鉄塔」をシンボルとしたように、「ババアの洋館」(すごい表現だなあ)の核になる存在を設定しようとしたはずと思えるのだが、それが「石のマンダラ」だとしたら消化不良に終わってしまった気がする。
「イルカの石像」の情景はとても好きなのだが、取って付けた子供だましのように見えてしまった……
『アルゼンチンババア』
なんてインパクトのあるタイトル!
観に行くぞと期待していたのに、残念……
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