2008/02/27

母べえ

2008.2.24

 監督:山田洋次
 出演:吉永小百合、坂東三津五郎、浅野忠信

大人の演出の落ち着いた作品になっていたと思います。
山田さんきっと、吉永小百合さんの思うままにやらせたんじゃないか? と思えるほど「母べえ(吉永さん)こそ観てください!」と言っているようにも思えました。
いい悪いは別にして、吉永さんは本当にじっくりと自分の演技をしていたと思います。近ごろでは、演技者が腰を据えて取り組める作品というものは数少なくなってきましたし、高倉健さんも出番がめっきりありませんしね…
てらう演技など「貴女、もうおばさんなんだから作らなくていいのに!」(でも女心は失わない?)ってところまで出させてしまう、見事な演出のさじ加減だと思います。
子役も抜群で登場人物はみんな生きていたし、淡々と「母べえの生きた時代」を描くことで、昭和の時代の叙事詩になり得たと思います。

ラス前の、母べえが書こうとする手紙の内容を語りで聞かせるシーン、エンドロールで聞くことができる父べえの手紙(詩)の朗読が素晴らしいと思えるのは、当時の庶民として「唯一であり、最大の抵抗」はそんな手段しか無かったことを示すと同時に、現代を生きるわれわれに対する質問状であると感じられるからではないだろうか。
「あなたが大切に思うものは何ですか?」と……
文句ありません。素晴らしかった。

タイトルバックに麻の布を敷いた心意気が、そのまま観る者に伝わってきたと思います。
※解説
小津安二郎さんの映画のタイトルバックに多く使われた麻の布(この場合「母べえ」のタイトル文字の背面)を目にした瞬間に「期待しています」と高ぶった気持ちを、小津さん同様の家族を題材にした物語で素晴らしい映画を見せてくれた。ブラボー!
という意味になります。

2008/02/13

陰日向に咲く

2008.2.11

 監督:平川雄一朗(知らな〜い!)
 出演:岡田准一、宮崎あおい

 出だしこそ「おっ、群像劇が始まるな」とのワクワク感があったのですが、どうももたついている感じが、原作者の劇団ひとりのギャグのように中途半端な印象を受けてしまい、何度もあくびしていました。(ダラダラ長いんだよねぇ)
 岡田くんって、見ているだけでほのぼのとした気持ちにさせられる気がして、とってもいいキャラクターだと思います。唱って踊るより全然イイ! と思います。
 あおいはもうエース! 大人顔になったし、表情を押さえられるようにもなってきたし、結婚もしたし(?)、「篤姫」なんかとっても可愛いし(あれはちとやり過ぎと思うが、すごくいい経験をしていると思う)、22歳でエースとはダルビッシュみたいなもんだね。

以上。


P.S. 映画監督の市川崑が亡くなられました(2/13)。ご冥福をお祈りいたします。「ありがとうございました!」
これからテレビで回顧放映があるかと思いますが、どれもいいのですが『黒い十人の女』をやっていたらチェックしてみてください。「黒い女」たちがカッコイイですから! あと『おとうと』『細雪』などなど……
わたしも、回顧します。
合掌。