2018/02/26

スター・ウォーズ/最後のジェダイ

2018.2.10

 監督:ライアン・ジョンソン
 出演:デイジー・リドリー、ジョン・ボヤーガ、アダム・ドライバー、マーク・ハミル、キャリー・フィッシャー

 エピソード Ⅰ〜Ⅲでは父親(ダース・ベイダー/アナキン・スカイウォーカー)の世代、エピソード Ⅳ〜Ⅵでは子ども(ルーク・スカイウォーカー、レイア・オーガナ)の世代を描き、エピソードⅦ〜Ⅸでは、現在のところ血縁者ではない若者(レイ、フィン)の世代が、ジェダイではなくてもフォースを身につけられる可能性を示そうとする。
 全シリーズを通して、時の流れと共に意識が変遷する「時間を描く物語」とすると、世代をまたいだ長大な時間が必要だったことも理解できる。

 不安を受け止められるレイの姿には、light(光を放つ太陽のような希望)vs dark(光を吸収するブラックホールのような恐怖)として描かれてきた、ジェダイとシスの関係を超えた精神性の存在が託され、light vs darkの葛藤を制した先に、劇中で語られる「バランス」を持ち合わせた強い精神が生まれることを暗示する。
 そこから、フォースの象徴的存在である「ヨーダ」の造形こそ、全シリーズを通したテーマであると気付くことに。
 現存するように描かれてきたが、彼の存在は心象の投影(R2-D2が投影するホログラムのよう)であり、心が生み出す理性(フォース)が擬人化(人?)された存在ではないかと。レジェンドとなったルークの肉体は失われても、慕う人々の心には、オビ=ワン・ケノービ、ダース・ベイダー(アナキン・スカイウォーカー)同様に生き続け、フォースを導き続けるのであろう。

 本作では、大半の労力が輪郭をあいまいにした背景提示と、その肉付けに費やされたため、活劇としての躍動感が欠けてしまった。
 魅力的な人物が不在である(悪役が強くない)ことが、バランスの均衡を取り戻しつつあるとの表現としたら、娯楽作として道を誤っている。カイロ・レンを悪役にしたくない伏線が見える気がしたのは、最終作への準備のようにも。

 懐かしい面々との再会もつかの間で、前作でハン・ソロ(ハリソン・フォード)、本作でルーク(マーク・ハミル)が姿を消し、不本意ながらも実生活でキャリー・フィッシャー(レイア・オーガナ)が亡くなりました。
 全シリーズ最終作となる次作は、新しい世代に託されることとなり、どんな希望が描かれるのか楽しみにしたい。
 「In loving memory of our princess, Carrie Fisher.」の追悼文は、次作の着地点がSTAR WARSシリーズを作り続けてきた原動力なのだから、「キャリーにも必ず届けるよ!」の誓いのように響く。