2010/09/27

オカンの嫁入り

2010.09.07

 監督・脚本:呉美保
 出演:大竹しのぶ、宮崎あおい

 好評を博した大河ドラマを経て、もう仕事を選ぶ立場でいいと思う宮崎あおいですが、今回は大竹しのぶとペアの「2本釣り」だったのではあるまいか?
 お互いに「この相手ならやってみたい」という気にさせる組み合わせの誘いが、見事にはまったと思われる企画に、こちらもはめられた印象があります。

 物語は、関西地区のローカルテレビ局で放映されるような、お騒がせ家族モノなので、笑えずに失笑するものの、舞台として登場する京阪電車(大阪〜京都を結ぶ)や、京都と思われる町並みに懐かしさが感じられました。

 あおいちゃんのスゴイところは、衝撃的な話を聞き、ショックのあまり身じろぎできない様子のドアップの長回しを、微妙な表情の変化で見せきって、スクリーンを支えてしまう迫力にあります(『剣岳 点の記』でも感じた、映画スタアが持つ力です)。
 わたしが監督だったとしても、重要なポイントではきっと彼女のアップの長回しを選択すると思うほど、魅力的であると思います。
 大竹しのぶの演技力をしても、ドアップで使おうとする人がいないことを考えれば、その魅力が理解できるのではないでしょうか。

 大竹しのぶは宮崎を認めているからこそ、突き放すようなそぶりを見せているように感じられます。
 「この子、きっと目を合わせにくるから、避けなくちゃ。でも、この子なら何とかするはずよ」
 なんてやりとりが見えたような気がしますし、あおいちゃんも大御所の𠮟咤を理解しているように見えました。
 そんなふたりの掛け合いが楽しめるのですから、観る価値があると言えるのでしょうね。

 テレビには出演しないあおいちゃんが、本作のプロモーションをきっかけに、テレビのバラエティに出演する姿を見ましたが、緊張しているのか、以前のままの少女(ガキ)なのか、素の印象はちょっと残念なものでした……
 映画スタアは、映画で華を見せてくれればいいのだから、またスクリーンで頑張って欲しいモノです。