2007/06/19

しゃべれども、しゃべれども

2007.06.17 しゃべれども、しゃべれども

 監督:平山秀幸 脚本:奥寺佐渡子
 出演:国分太一、香里奈、伊東四朗、八千草薫(!)

 コミュニケーションの原点は「話すこと」を軸足に、人間の成長過程を追う主題には好感が持て、とても楽しんで観ることができました。
 こんな王道的なストーリーをエンターテイメントの味付けを加えて、見せてしまうところが「日本映画界のエース!」(個人的見解です)たるゆえんかも知れない(と、またも勝手な思い入れをしてます)。
 実にテンポのいい演出で「当たり前のような風景」を提供してくれ、平山さんお見事! なのですが……
 この人、演技指導的なこと(内面に関して)は得意ではないのかも知れない、と思うところが目につきました。
 国分くんの見てくれ(表に見える部分)には引かれるところあるのですが、心の表情が見えてこなかった印象がありますし、香里奈が浮いていたのは、どうにもならなかったのか? と思ってしまいます。ストーリー的には必要かも知れないが、絵の中では完全に浮いていたというか、意図的に浮かされていたように見受けられました。
 それは、演出意図なのだから仕方ないのかも知れませんが、本作の伊東四朗や、以前の作品での長塚京三、原田美枝子など、技術を持った役者の引き立て方は本当に見事なのに、若手から潜在能力を引き出す力はあまり持ち合わせておられないように見受けられました。(『ターン』の牧瀬里穂だけが特別だったのだろうか?)
 それでも、次回作楽しみにしております。

P.S. 平山さん!
 黒木和雄さん、今村昌平さんに続いて熊井啓さんまでもが去られた日本映画界を、これから背負ってもらわないといけないんですから……

2007/06/05

あしたの私のつくり方

2007.06.03 あしたの私のつくり方

 監督:市川準
 出演:成海璃子

 人は、閉塞感にさいなまれた時、その状況を変えたいと願うが、どう解決されたら満足なのかと考えたとき「自分の理想を思い描き、思い通りの行動ができる」ことを望むと思う。
 それが仮に実現し、閉塞感から解放されたとき、その人は引き戻されるであろう「現実」との対峙を迫られる。
 その折り合いの付け方として、主人公たちに現実をキッチリと受け止めさせ、新たな一歩を踏み出させている本作は、タイトルに対する答えをきちんと映像化していると思える。
 成海璃子は、まだ演技未満とは言え「瑠璃の島」(TV)以来、存在感があってどんな成長を見せてくれるのか楽しみな娘(まだ14歳だって!)です。

 石原良純・真理子の夫婦は「うまくいくわけがない」配役とセリフで、決め打ちしちゃってよかったのか? 観る側には分かりやすいと思うが、定番過ぎやしないだろうかという気がした。

 それにしても、女子の世界(理解不能)は大変そうだということだけは理解できた、気がする……