2008/05/30

砂時計

2008.5.2

 監督:佐藤信介
 出演:夏帆、松下奈緒

 本作を観ようと思った動機は、昨夏公開の『天然コケッコー』を観に行った京都のミニシアターが2度満員であきらめたものの、いい評価を受けていた印象があるので、夏帆ちゃんがどんなもんなのか観たい気持ちで足を運んだのですが、首をかしげてしまいました。
 物語のテーマと思われる、砂時計が新たな時を刻み始めるとき「過去が未来になる」はずのものが、「未来が過去の繰り返しになる」面ばかりが印象に残ってしまい、何で彼女を使うのか理解できない松下奈緒に「まかせといて!」と言われても、砂時計が明るい未来を刻み始めるとはどうしても思えませんでした。
 原作が少女漫画だからいけないとは言いませんが、一生懸命生きているはずの男性たちの苦悩が伝わってきません。
 そして主題とされる砂時計を壊してしまうという扱いはいかがなものか、と思ってしまいます。
 ガラスの器の中に砂が入っているわけですから、それを割ってしまってはもう二度と元には戻りません。
 壊れたものは仕方ないから、これから「新しい時を刻もう」と違う砂時計を買ってくる訳ですよね?
 その時、女の性は「ここから再スタート」と切り替えるのかも知れません。
 で、その時男の性は「納得しているんだから、まあいいか」と、その区切りを女の性に委ねてしまいます。
 それが描きたかったこと、と理解していいのだろうか?
 これはわたしの勝手な感想なんですがね……


『天然コケッコー』
 前述の作品に納得がいかずに、DVDを借りて観ました。しかし……
 2作品とも、舞台設定が島根県である必然性が感じられなかったのですが、何でそんな作品を作ったんだろうか。
 『砂時計』は仁摩にある大きな砂時計の存在であり、『コケッコー』ではとて物腰の柔らかな島根の女言葉(浜田の宿のおばあさんの言葉を思い起こしました)でしかないのでは?
 それだけならば、どちらの作品も東京と対比のできる田舎町であればどこでもいいことになってしまうのでは、と思ってしまいます。
 そして夏帆ちゃんにガッカリです。
 『砂時計』では、表情もできてなければ、セリフもまともにしゃべれないと散々だったので『コケッコー』に期待したのですが、かろうじて「天然」の部分だけが人物設定にはまっていただけで、ちょっとこの先難しいかも知れないと思わされました。
 TVCMの「リハウス」の頃の方が輝いていた気がします。

 いずれも原作が少女コミックなので、エピソードが多すぎてストーリーを絞りきれないという誘惑に負けたと言うか、上映時間長すぎです!

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