2008.9.26
監督:滝田洋二郎
出演:本木雅弘、山崎努
近ごろはシネコン等のおかげで映画上映館の状況も大きく変わり(大手配給会社からの縛りが解けつつあり)、大手映画会社以外からの資本流入により、日本映画の製作本数も上映機会も増えていて喜ばしいのですが、同時に質の低下を招いていることも事実だと思われます。
そんな中「きちんとした映画をみせてくれる監督」が頑張ってくれていることが、とてもうれしく思えます。
テーマ設定が見事だと思います(原作があるそうです)。
観客層は壮観なほどに高齢層で固められていて、みなさん「こんな納棺師がいてくれるなら、いつ死んでも安心」などと思われているのでは? というか、変な話し「あの人にお棺に入れて欲しい」などといった「カリスマ納棺師」なんて登場するかも知れません。
遺言はできても予約はちょっと無理ですよね……
それはいくら何でも、と思われるかも知れませんが、不安なことが多すぎる時代であることは確かですから、ひとつでも多くの安心できるビジョンを持ちたいと考える人がいることも理解できる気がします。
死後も燃やされるまでは誰のモノでもない自分の肉体ですから、可能な限り丁寧に扱ってもらいたいと思う気持ちは、とても良く理解できます。
そのような「その気持ちとてもよく分かる」という身近なテーマの設定が見事だと思いますし、それを丁寧に描いている本作ですから、観る人の心に響くであろうことも、とても納得できます。
納棺手順の「様式化」にこだわったと思われる演出は実に見事で、「日本人はああいうかしこまった様式には弱いんだよね」と、当事者だったとしたら、わたしもきっと深々とお礼をするであろう民族であること、わたしはとても誇りに思います。
わたしも、不安を持って逝きたいとは思いませんが、それはかなうことなのだろうか……
モッくんは、押さえに押さえた演技で「天職」に導かれていく心情を表現し、観る者うなずかせてくれます。
今年の演技賞はもちろん、これまでで一番良かったのではないだろうか。
山崎努が「いい人」に見えてくるのは、演出ではなく演技者からにじみ出てくる人間性であると思います。
広末涼子はいつまで猫なで声でしゃべっているのだろうか。
久石譲のサントラ盤はダウンロード等では手に入らないので(ネット販売はあるが)、久しぶりにCD店を探し回って買いました。
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