監督:大林宣彦
脚本:大林宣彦、桂千穂
出演:窪塚俊介、満島真之介、長塚圭史、常盤貴子
戦前に発表された檀一雄『花筐:1937年』を、1938年生まれの大林監督が映画化した作品。
戦争が迫る時代に、自らの命をまっとうしたいともがいた若者たちの姿は、近い将来ミサイル飛来が差し迫った際の、われわれの姿に重なるかも知れない。
当時は不治とされた胸の病は、現在では医学の進歩により完治可能となったが、戦争で死にたくない若者を救う手だては、戦後70年を経過した現在でも確立されていない。
戦争を経験した人々の「不戦の誓い」が揺らぎそうな現在に、あきらめてはいけないと訴える先達たちからのメッセージ
「君たちも、戦争で死にたくないだろ?」
に、異論を唱える者はいない。
近ごろは、リアルさにこそ説得力があるとの風潮からか、エグい絵をよく目にするが、ベテラン監督は対極の比喩的表現の中で、あえて「血」をモチーフに用いている。
何度も登場する「血」のイメージは、命・生命力の表現であり、監督自身の活力=血潮の意味と受け止めた。
コマ落とし、合成、反転、回転等々の演出に、いまも取り組もうとする意欲に敬服し、三つ子の魂を百まで持ち続けるであろう、少年の心に拍手を送りたい。
映画が好きで好きで仕方ない、心根が変わらない大林映画の集大成のように映った。
戦争が迫る時代に、自らの命をまっとうしたいともがいた若者たちの姿は、近い将来ミサイル飛来が差し迫った際の、われわれの姿に重なるかも知れない。
当時は不治とされた胸の病は、現在では医学の進歩により完治可能となったが、戦争で死にたくない若者を救う手だては、戦後70年を経過した現在でも確立されていない。
戦争を経験した人々の「不戦の誓い」が揺らぎそうな現在に、あきらめてはいけないと訴える先達たちからのメッセージ
「君たちも、戦争で死にたくないだろ?」
に、異論を唱える者はいない。
近ごろは、リアルさにこそ説得力があるとの風潮からか、エグい絵をよく目にするが、ベテラン監督は対極の比喩的表現の中で、あえて「血」をモチーフに用いている。
何度も登場する「血」のイメージは、命・生命力の表現であり、監督自身の活力=血潮の意味と受け止めた。
コマ落とし、合成、反転、回転等々の演出に、いまも取り組もうとする意欲に敬服し、三つ子の魂を百まで持ち続けるであろう、少年の心に拍手を送りたい。
映画が好きで好きで仕方ない、心根が変わらない大林映画の集大成のように映った。