監督・脚本:是枝裕和
出演:阿部寛、真木よう子、小林聡美、リリー・フランキー、樹木希林
本タイトルは、テレサ・テンが歌う「別れの予感(YouTube):海よりもまだ深く 空よりもまだ青く あなたをこれ以上 愛するなんて 私にはできない……」 によるらしいが、観る者には「父母の恩は山よりも高く海よりも深し」の、ストレートな表現として受け止められた。
人生での様々なチャレンジは、思い通りにならないことが常であるが、その受け止め方も当人と親では異なるのも当然である。子の問題に関して親は反則を顧みずに行動を起こすのは、愛情を注ぐ対象のかけがえのなさを、確かめようとするためかも知れない。
けたたましくもほほえましく描かれる母と姉の女の会話は、描かれない父と息子の言葉数の少なさを際立たせ、主人公が父の遺品である硯で墨をすりながら、姿勢を正そうとする意識には、父の背中を手本とすべく「親としての自覚」が芽生えたように見える。
樹木希林さんには、自分の母をも想起させる普遍性が感じられ「演技を越えた存在」に思えてくる。阿部寛のダサいオヤジぶりの見事さに驚くが、男の外見には気の持ち方が出てしまうらしく、シャンとせねば! と思わされる。
本作同様、昭和歌謡(ブルーライト・ヨコハマ)を題材とした『歩いても 歩いても:2008年』も、阿部寛、樹木希林の出演が強く印象に残るので、再見したくなった。
是枝作品では繰り返しになるが、小津安二郎監督が危惧した「家族のあり方」を、現代に追い続ける作品には毎回刺激を受け、目を離せない数少ない監督と本作でも感じた。
人生での様々なチャレンジは、思い通りにならないことが常であるが、その受け止め方も当人と親では異なるのも当然である。子の問題に関して親は反則を顧みずに行動を起こすのは、愛情を注ぐ対象のかけがえのなさを、確かめようとするためかも知れない。
けたたましくもほほえましく描かれる母と姉の女の会話は、描かれない父と息子の言葉数の少なさを際立たせ、主人公が父の遺品である硯で墨をすりながら、姿勢を正そうとする意識には、父の背中を手本とすべく「親としての自覚」が芽生えたように見える。
樹木希林さんには、自分の母をも想起させる普遍性が感じられ「演技を越えた存在」に思えてくる。阿部寛のダサいオヤジぶりの見事さに驚くが、男の外見には気の持ち方が出てしまうらしく、シャンとせねば! と思わされる。
本作同様、昭和歌謡(ブルーライト・ヨコハマ)を題材とした『歩いても 歩いても:2008年』も、阿部寛、樹木希林の出演が強く印象に残るので、再見したくなった。
是枝作品では繰り返しになるが、小津安二郎監督が危惧した「家族のあり方」を、現代に追い続ける作品には毎回刺激を受け、目を離せない数少ない監督と本作でも感じた。