2007.04.01 アルゼンチンババア
監督:長尾直樹
出演:役所広司、鈴木京香、堀北真希
役所広司、鈴木京香というビッグネームを並べられたと言うことは、企画に力があったということでしょうから、原作ってのがかなり魅力的なんだと思われます。しかし、その期待は開巻と共に崩れ去ってしまいました。
演出の落ち着きの無さと、脚本が子ども(娘)側に寄り過ぎていると感じるのは、自信の無さから生じているのでは、と受け取れてしまった。
とにもかくにも、アルゼンチンババアが全然生かされていないのは致命的である。
妖しさや、近寄りがたいくも魅力的な姿に見えないのだ。鈴木京香の「魔女的(?)メイク」とても似合うのに(彼女の整った顔立ちだから栄える)、実にもったいない……
彼女が踊るタンゴ(アルゼンチン?)も、堀北真希に教えるダンス教室のレッスンのようで、何の色気も感じさせてくれない。
「情熱」のかけらすら感じさせない人物たちでは、何のための「アルゼンチン」だったのか、と聞いてみたくなる。
子ども(娘)側に活路を求めたのが、間違いのもとと思う。もっと大人の話にすべきだったのではないか……(原作もそうだったのか?)
後で、演出が『鉄塔武蔵野線』の監督と知り、はじめから無理があったのではないか、と思ってしまった。
この監督であれば「鉄塔」をシンボルとしたように、「ババアの洋館」(すごい表現だなあ)の核になる存在を設定しようとしたはずと思えるのだが、それが「石のマンダラ」だとしたら消化不良に終わってしまった気がする。
「イルカの石像」の情景はとても好きなのだが、取って付けた子供だましのように見えてしまった……
『アルゼンチンババア』
なんてインパクトのあるタイトル!
観に行くぞと期待していたのに、残念……